シリコーンゴムやフッ素ゴムでは通常、加硫を行った後に2次加硫(二次加硫)なる処理を行います。
2次加硫とは何のために行うのでしょうか?
2次加硫はどのような処理か?
2次加硫は通常の加硫(1次加硫)とは違って圧力はかけず、空気中で常圧で加熱処理します。
1次加硫品を恒温槽に入れて熱処理する方法が一般的かと思います。
2次加硫はポストキュア、後加硫とも呼ばれます。単に再加熱、熱焼成などと呼ぶこともあります。
シリコーンゴムの場合
シリコーンゴムの場合、2次加硫の主な目的はパーオキサイド加硫剤の分解残渣、低分子量成分(環状シロキサンなど)を加熱除去することです。
これらは絶縁性を下げたり、電子機器だと接点不良を起こし得るものですので除去すべきです。
銘柄によっては、低分子量成分を少なくして2次加硫を不要化したものもあります。
フッ素ゴム、アクリルゴムの場合
フッ素ゴムやアクリルゴムの場合、2次加硫の主な目的は、加硫反応を完結させて物性を安定化させることです。
シリコーンゴムもそうですが、通常の加硫条件では加硫が十分に完結しないため、2次加硫工程を設けて1次加硫のときよりも高めの温度で熱処理します。
2次加硫の条件の一例
例えばシリコーンゴムですと1次加硫は165℃×10分くらい、2次加硫は200℃×4時間くらい、といった条件で加硫します。
フッ素ゴムですと、1次加硫は170℃×10分くらい、2次加硫は230℃×24時間くらい、といった条件で加硫します。
その他
清潔性のために2次加硫と洗浄を組み合わせて成分残渣を徹底的に除去したり、臭気の除去のために2次加硫をしたりといったケースもあります。
それから、敢えて2次加硫で余分な熱履歴を与えることで熱老化後の物性の低下を押さえるという効果も期待できます。
熱老化試験をすると、試験の初期に引張強さや伸びといった物性が大きく低下することがしばしばあります。
加硫成形の段階でこの物性の低下分を”込み込み”にすることで、熱老化試験時の見かけの物性低下を小さくすることができます。
熱老化試験では、初期の物性を100%とした時の低下率で評価することが多いため、好んで2次加硫をする場合があります。
言わずもがなですが、2次加硫をし過ぎると熱老化が進んで劣化してしまうので注意が必要です。
ちなみに、2次加硫促進剤と呼ばれる添加剤があります。これは今回の2次加硫とは無関係ですのでご注意下さい。2次加硫促進剤は他の加硫促進剤と併用して、より高度に加硫速度やスコーチ安定性を調整するものです。単に、添加量の多い方を1次加硫促進剤、少ない方を2次加硫促進剤と呼ぶ程度のものです。