技術者の基礎知識

【初心者にもわかる】スマホやEVを例に、リチウムイオン電池の充電速度を簡単に計算する。CCCVも。

スマホやEVにはリチウムイオン電池が使われています。皆さんスマホは持っていますか?持っている方は、毎日寝る前に充電しているのではないでしょうか?

さて、今回のお題は「電池の充電時間を短くするにはどうしたらいいのでしょうか?」です。

ここを考察すると、電池の挙動について少し詳しくなれます。

充電速度は電流で決まる

電池とは、電子を貯めては放出するデバイスです。貯められる電子の個数は電池によって決まっています。貯められる電子数のキャパを電池容量と言います。

電池容量は次の式で表すことができます。

電池容量[Ah] = 電流[A] ×充電時間 [h]

電流とは、言わずもがなですが単位時間あたりに流れる電子の個数です。したがって、電流が大きいほどたくさんの電子を流し込めるため、充電時間は短くて済みます。

電流の大小はどうやって決まるのか?

電流の大小はどうやって決まるのでしょうか?

オームの法則より、電流=電圧÷抵抗となりますので、電圧が高いほど、あるいは抵抗が小さいほどたくさんの電流が流れます。

スマホ

スマホを充電するときは、家のコンセントに充電器をつなぎます。あるいはUSBでパソコンにつないで充電します。いずれの場合も、電圧は5Vと決まっています。したがって、電流の大きさはスマホの中の電池の抵抗や充電器の抵抗の合計で決まってくるわけですが・・・

例えば、iphoneを買ったときに付属していた充電器を使うと、これら抵抗の合計が1Ωくらいになります。したがって、流れる電流は5V÷1Ω=1Aとなります。

iphoneの充電器に書かれている文字をよく読むと、「input 100-240V 〜50/60Hz 0.15A」「output 5V — 1A」と書かれています。

充電器というのは、コンセントの電気を交流から直流に変えて、かつ電圧を所定の値に変える役割を担っています。iphone充電器の場合、電圧(国によって異なるが100-240Vの範囲)を5Vまで変圧します、そして定格電流は1Aです、ということです。

定格電流というのは、安全に使える電流の上限値のことです。定格電流が1Aの充電器は充電回路の抵抗全体がだいたい1Ωになるように設定されているため、5V÷5Ω=1Aの電流が流れるようになっています。

一方、ipadの充電器の定格電流は2Aくらいです。したがって、これをiphoneに使えば充電時間が短くなります。

ただし、iphone6, 6s, 7は1.4A以上の電流が流れないように回路設計されているため、2Aの充電器をつないだとしても流れる電流は1.4Aです。iphone7plusであれば最大2.0Aまで流せるため、2A丸々使えます。

ちなみに、パソコンのUSBでつないで充電すると時間がかかります。通常のUSB端子(USB2.0)だと0.5Aしか電流を供給できない設計になっているためです。新しいUSB端子(USB3.0)だと0.9Aくらいまで上がるため、マシになります。

さらに、パソコンがmacbookの場合、iphoneをつなぐと高い電流を流せるようプログラミングされているため、短時間で充電できます。最大2Aくらい流れるようですので、iphone6, 6s, 7は1.4A、iphone7plusであれば2.0Aで充電できます。ipadの充電器を使ったときと同等ですね。

最後に、iphoneだと電池容量は機種によりますがおおむね1〜3Ahです。したがって、1Aの電流なら満充電まで1〜3hかかる計算になります。実際は、後述するようにもっと時間がかかるのですが、概算イメージとしてはこんなもんです。

電気自動車(EV)

家庭の普通の100Vコンセントもしくは200Vコンセントで充電します。充電回路の内部抵抗がいくらかは不明ですが、15Ωと仮定して(多分このくらい)、100Vで7A、200Vで13Aです。

日産リーフだと、電池容量はざっくり100Ahです(日産リーフS:40kWh÷350V=114Ah)。

よって、充電時間を概算すると100V充電で100Ah÷7A=14h、200V充電で100Ah÷13A=8hとなります。

外のEVスタンドであれば急速充電が可能です。CHAdeMO(チャデモ)と呼ばれるものです。メカニズムは不明ですが、数百Aの電流を流せるようです。

充電時間も1hを切ります。

電源は交流ではなく直流で、電圧は最大500Vのようです。電圧はそんなに高くないので、充電回路の内部抵抗が低く制御されているんでしょうかね?

最後に:定電流定電圧(CCCV)方式

電池は、充電されるにつれて電圧が上がります。電池に電圧がかかり過ぎると電池が壊れますので、充電の後期は電池にかかる電圧を制御しなければなりません。

電池にかかる電圧は、電子が溜まってないときの電圧+電子が貯まることにより増える電圧、です。

後者は、電子の貯まり度合いで決まります。コンデンサと似た感じです。(コンデンサの電圧は溜まった電子の量に比例する)

よって、充電が進んで電池の電圧が許容値近くまで上がってきたら、電流を小さくして電圧を敢えて下げる必要があります。だいたい充電が80%くらいになってからでしょうか。

充電が80%くらいまでは充電が順調に進みますが、そのあとは充電速度が鈍化します。だから、上述の概算結果より充電時間は長くなります。

最初は定電流ですが、最後の方は定電圧ですので定電流・定電圧(CCCV)方式と言います。リチウムイオン電池では主流のようです。