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金利、株価、物価、為替は、お互いにどう連動しているか

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資産運用をしていると、金利、株価、物価、為替といった経済指標を気にしますが、お互いにどのような関係性があって、どう連動しているか、ふと分からなくなることがあります。

ここでは、これらの経済指標の基本的な動き方について整理しました。

まずは、情報の引用先を

参考になったのはこちらの書籍です。

『投資戦略の発想法 2010』木村剛

こちらの書籍のp.190に書かれている情報を引用しています。

相関関係をひとまとめに書くと・・・

ひとまとめに書くとこうなります。

  • 景気↑ = 金利↑
  • 出回っているお金↓ = 金利↑
  • 景気↑ = 株価↑
  • 金利↓ = 株価↑
  • 景気↑ = 物価↑
  • 出回っているお金↑ = 物価↑
  • 物価↑ = 金利↑
  • 景気↑ = 円↑
  • 金利↑ = 円↑
  • 物価↓ = 円↑

ボールドにしたところ以外は、どちらかが高ければもう片方も高くなる関係にあります。

つまり、出回っている金と金利、金利と株価、物価と円だけは互いに逆に動く関係ということになります。

1)金利の動き

金利とは、お金を借りたい人がお金を貸したい人からお金を借りるときに支払う利子率のことです。

実体経済では、ビジネスをするにあたり元手となるお金が要ります。まとまった額が必要になるため、お金を持っている金融機関から借りたり、株や社債を発行してお金を持っている資本家から直接お金を集めようとします。

お金を貸したお礼として受け取れるのが利子です。この利子は経済状況によって変動します。

つまり、お金を借りたいというニーズとお金を貸したいというニーズの需給バランスで決まります。

景気がいいと金利が上がる

景気がいいときは、お金を借りたいニーズが大きくなります。

景気がいいというのは、商品がたくさん作られ、たくさん売れるという状態です。生産者と消費者の間でやりとりされた金額、つまりGDPが高いということです。

景気がいいと商品がたくさん売れるので、元手を増やしてビジネスを拡大したいと考える人が増えます。

そうなると、お金の価値が高まって引っ張りだこになるため、金利が上がります。払う利子が増えてもいいから金を貸してくれー!ってなるからです。

出回っているお金が少ないと金利が上がる

出回っているお金が少ないときは、お金を貸したいというニーズが小さくなります。お金が出回っていないから、貸したくても貸せません。

そうすると、お金の価値が高まって引っ張りだこになるため、金利が上がります。

政府が金融引き締めをしてマネーサプライを少なくした時なんかがそうです。

というわけで、景気がいいとき、出回っているお金が少ないときに金利が上がります。

逆に、景気が悪いとき、出回っているお金が多いときには金利が下がります。

(参考)10年国債の利回りが金利の指標になっている

金利はお金を貸す人と借りる人の間で決めるためまちまちですが、基本的には10年国債の金利にプラスアルファしたものを採用しています。

なぜかというと・・・

国債とは、お金を借りる人=国です。国がつぶれない限り、必ず返してくれます。そういう意味では、国債というのはノーリスクで利回り分のプラスを手に入れられると言えます。

じゃあ、国とは違って、お金が返ってこないリスクがある他のところにお金を貸すんだったら、国債の利回り以上に利子をつけてーな、となりますよね。

だから、国債の利回りに上乗せして利率を決めます。

いずれにしても、国債の利回りを基準に各自が利率を決めるため、国債の利回りが指標として採用されているということです。

ちなみに、2019年1月17日現在の10年国債の利回りは0.007%です。ほぼゼロです。景気はそんなに悪くないと思いますので、出回っているお金が多すぎるせいでしょう。

2)株価

景気がいいと株価が上がる

景気がいいと株価が上がります。

商品がたくさん売れて利益が出るからです。

利益の一部は株を保有する株主のものなので、会社の利益が増えたら株主が儲かります。株を持っているとトクをするので、みんな株を持ちたがります。

結果、株の価値が高まって、株価が上がります。

金利が下がると株価が上がる

金利が下がると株価が上がります。

金利が下がると、お金を借りていている会社が払うべき利息が減ります。よって、その分利益が増えて、株主の分け前も増えるわけです。

3)物価

景気がいいと物価は上がる

景気がいいと、みんなが商品を買おうとしますので、商品の価値が上がり、物価が上がることになります。

疑問なのは、「景気がいいと、商品の生産量も同時に増えるので、商品の価値は変わらないんじゃないの?」ということです。

つまり、景気がいいということは、たくさん商品が作られ、たくさん商品が売れる状態ですので、商品の需給バランスが崩れるわけじゃない。だから、商品の値段(物価)は変わらないんじゃないの、ということです。

この疑問については、こう考えることでスッキリ腹落ちできます。

景気がいいということは、会社がたくさん利益を出すということ。その利益は、株を保有している消費者にも還元される。また、会社から支給されるボーナスも増える。

お金が増えた消費者は、商品をいろいろ買いたいなーと思うようになり、実際に買う。商品の生産量は急に増やすことができないので、一時的に商品の価値が上がって物価が上がる。

商品の生産量が需要に追いつくと、物価は再び元の水準に戻る。

出回っているお金が多いと、物価が上がる

実体経済とは、生産者と消費者が商品とお金を交換する活動です。

消費者側がもっているお金が増えると商品に割安感が出てきて、商品が売れるようになります。

商品の価値が上がって引っ張りだこ状態になるため、商品の値段(物価)は上がります。

かつてのジンバブエでは、政府がお金を大量に刷った結果、お金が大量に出回り、物価が鬼のように上がりました。ハイパーインフレというやつです。

金利が上がると物価が上がる

金利が上がると、お金を借りている生産者はたくさん利息を払わなければならないため、あまり利益が出なくなります。

ビジネスが立ち行かなくなるため、商品の値段(物価)を上げざるを得ない。

よって、金利が上がると物価が上がります。

4)為替

景気がいいと円高になる

日本の景気がいいと、日本にたくさんのお金が入ってきます。日本に投資して利益を得たいと考える資本家が増えるからです。

海外の資本家は、海外の通貨を日本円に替えて日本に投資することになりますので、日本円に替えたいという人がわんさか増えます。

その結果、円の価値が上がり、円高になります。

金利が上がると円高になる

日本の金利が上がると、日本円を持っておきたいと考える資本家が増えます。

したがって、日本円に替えたいという人が増えて円の価値が上がり、円高になります。

物価が下がると円高になる

日本の物価が下がると、海外の人は日本から商品を買おうとします。海外よりも日本で買ったほうが安く商品を買えるからです。

したがって、日本円に替えたいという人が増えて円の価値が上がり、円高になります。

まとめると・・・

「金利」とはお金の価値です。よって、景気がいいとき、出回っているお金が少ないとき、お金の価値が上がって金利が上がります。

「株価」とは株の価値です。よって、景気がいいとき、金利が下がるとき、株の価値が上がって株価が上がります。会社の利益が増えますからね。

「物価」とは商品の価値です。よって、景気がいいとき、出回っているお金が多いとき、金利が上がるとき、商品の価値が上がって物価が上がります。

「日本円」。日本の景気がいいとき、日本の金利が上がるとき、日本の物価が下がるとき、円の価値が上がって円高になります。世界から日本にお金が流入してくるときに円高になるということです。

世の中の経済現象の説明に使える

経済が健全なのは、景気がよい状態です。つまり、GDPが高くて、年々その額が増えているという状態です。経済が成長している状態が、あるべき姿です。

景気をよくするには

景気をよくするには、金利が上がること、株価が上がること、物価が上がること、円高になることが必要です。

しかしながら、金利と株価の関係は「金利↓ = 株価↑」で、物価と円の関係は「物価↓ = 円↑」です。景気を上げる要素が互いにトレードオフにあります。

ここが経済政策の難しいところです。

アメリカが金利を上げる理由

最近、アメリカが金利を上げようとしています。アメリカの株価が上がってきたので、さらに景気をよくするために金利を上げよう、という考えです。

金利を上げると株価が下がるため、そのさじ加減が景気を左右します。

株価が下がりすぎて景気が悪化したら元も子もないからです。

アメリカのFOMCの対応が注目されるのはこのためです。

日本はデフレを解消して景気をよくしようとしている

日本は、今もそうですが大量のお金が出回っています。

「出回っているお金↑ = 物価↑」なので、物価が上がりそうですが、むしろ下がっています。つまりデフレです。

これは、「景気↑ = 物価↑」の関係が強く出たからでしょう。つまり、景気がずーっと悪かったから、物価も下がってしまったということです。

日銀はデフレ解消のためにさらにお金を増やしています。「出回っているお金↑ = 物価↑」の原則に基づいた対応です。うまくいくかは分かりませんが。

デフレということは景気が悪いということです。「景気↑ =物価↑」だからです。だから、日銀はデフレ解消に躍起になっています。

インフレが急激に進んでハイパーインフレになると・・・

日本はインフレ率の目標=2%を掲げています。物価がゆるやかに上がっていく状態が、景気にいいからです。「景気↑ = 物価↑」の関係ですね。

一方、物価が急激に上がっていくとどうなるのでしょうか?

景気がさらによくなりそうですが、そうはなりません。

「物価↓ = 円↑」の関係から、一気に円安になります。”一気に”というところがポイントです。

手持ちのお金の価値が目減りするわけで、せっかく貯金していたお金もパーになります。

そうなると、買い物どころじゃなくなりますので景気は急激に悪化します。

ハイパーインフレはどのようなときに起こるのでしょうか?

戦後のように、壊滅的被害を受けて生産能力が落ちると物資の数が減り、物価が跳ね上がります。

かつてのジンバブエのように、めちゃくちゃな政策で国内の生産能力が大幅に縮小したときにも起こります。

FXをする人が気にする各国の金利は、各国の景気に左右される

FXの話になると、南アフリカのランドやオーストラリアのドルがよく取り上げられます。2国とも資源大国です。資源というのは、鉱物資源やエネルギー資源のことです。

ですので、資源価格が下がると儲けが減って景気が悪くなります。「景気↑ = 円↑」の関係を南アフリカ、オーストラリアに置き換えると、それぞれ「景気↑ = ランド↑」「景気↑ = ドル↑」となります。

景気が悪くなると通貨が安くなります。そうすると、金利も下がりますので、FXでポジションを持っていた人は損失を被ることになります。

経済現象を説明するのに、なんとなく使えそうです。