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カメラ、ミリ波レーダー、LiDAR(ライダー)の違い、自動運転レベルの定義

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自動運転には、障害物や他の車との距離をつかむ技術が必須です。

距離をつかむ技術には「カメラ」「ミリ波レーダー」「LiDAR(ライダー)」の3つがあります。

「カメラ」は人間の目と同じで、可視光を検出するものです。スバルのアイサイトが有名です。

「ミリ波レーダー」と「LiDAR」は、ビームを出して障害物に反射させ、返ってくるビームを検出して距離を測ります。コウモリはまさにこのやり方で位置関係を認識しています。

違いは、コウモリが音波を使っているのに対して、「ミリ波レーダー」と「LiDAR」が電波を使っていることです。音波を使う場合はソナー、電波を使う場合はレーダーと言います。

「ミリ波レーダー」と「LiDAR」

「ミリ波レーダー」はミリ波、「LiDAR」は赤外線を使います。同じ電波でも、ミリ波と赤外線では波長が違います。ミリ波は波長が長く、赤外線は波長が短いです。

電波の進行方向にチリや水蒸気のような小さな障害物が立ちはだかっている場合、波長が長い電波だと、脇っちょを迂回することができるので、障害物を越えて進むことができます。

ただし、迂回する余裕がある分、電波のビームは太めになり、画素数は低くなります。

したがって、波長が長いミリ波は、低画素数ではありますが、遠くの物体まで認識できます。

一方、赤外線は遠くの物体までは捉えられませんが、近距離の物体を高精度に認識することができます。

なお、自動運転の記事や本に出てくる「LiDAR」は、角度を自由に変えられる鏡を使って、赤外線のビームを3次元に動かしてスキャンさせる「スキャンLiDAR」のことを指しています。

カメラだけでは不安?

「カメラ」だけでもそれなりに使えますが、夜は暗いのでセンシング能力が下がります。霧が出たり、夕日がまぶしい時も同じです。

真っ暗でも、悪天候でも大丈夫な「ミリ波レーダー」を組み合わせれば、カメラの欠点を補うことができます。

また、「LiDAR」を組み合わせれば、「カメラ」とは比べものにならない精度で三次元空間を捉えることができます。

遠くは「ミリ波レーダー」、「カメラ」と「LiDAR」にセンシング機能を分担させることで、より広範囲なセンシングが可能になります。

「カメラ」はどんどん進化していて、例えばアイサイトは白黒で検知→カラーで検知になり、信号の色を認識できるようになっています。

「ミリ波レーダー」は、画素数を上げるために波長を短くする試みがなされています。現在の77GHz帯ではなく79GHz帯のミリ波を使うという方法です。

「LiDAR」はすごく高価なため、普及にはコスト低減がカギになりそうです。

ソナーを使ったセンサー

補足ですが、音波を使うソナーを使ったセンサーもあります。

駐車の時、車庫の壁などに近づきすぎるとピピピピピと警告してくれるやつです。

ソナーセンサー自体は前方、後方、側面についています。音波は1mくらいしか飛ばせませんので、用途は駐車のアシストに限定されます。

ソフト側の技術も重要

以上、自動運転に必要なセンシング技術について書いてみましたが、ハード側だけではなくソフト側の技術も重要です。

2016年に、自動運転モードで走行していたテスラのモデルSが大型トレーラーに衝突し、モデルSに乗っていた運転手が死亡する事故が起きました。大型トレーラーが太陽光を反射して、「カメラ」で認識できなかったことが直接の原因のようです。

モデルSには「ミリ波レーダー」も付いていたのですが、自動運転のソフトウェアが「カメラ」の情報を優先するプログラムになっていたようです。その後、テスラは「ミリ波レーダー」の情報も重視するプログラムに変更しました。

アイサイト付きのスバル車に乗っていると分かりますが、夕日が差し込んでまぶしいときはアイサイトが勝手にOFFになります。これに近い状況だったものと推測しています。

単にセンサを組み合わせれば済む話ではなくて、センサからの情報をどうやって処理するか、というソフト側の技術もすごく大事だということを痛感した出来事でした。

自動運転レベルの定義

ドライバーが車を運転する時、操縦に使うのは「アクセル」「ブレーキ」「ハンドル」の3つです。この3つに着目すると、自動運転のレベルを理解しやすいです。

3つのうち、

 ・どれか1つが自動でできるとレベル1
 ・2つできるとレベル2
 ・3つともできるとレベル3

になります。

レベル1から3までの場合、緊急の時はドライバーが操作できるよう、手動に切り替わる仕組みになってます。

万が一の緊急時も自動操縦なのがレベル4です。完全なる自動運転ですので、ドライバーは全く操縦に関与しません。

以下、それぞれのレベルの詳細です。

自動運転レベル1:衝突回避システム

レベル1の車とは、ほぼイコール”衝突回避システム”が備わった車のことです。

「ブレーキ」が自動的に作動することになります。

最近の車にはほとんど備わっていると思います。

自動運転レベル2:車間距離と車線を維持できる

レベル2の車とは、クルーズコントロールという車間距離を維持して走行する機能、それから、車線を維持するための機能が備わった車のことです。

クルーズコントロールは「アクセル」と「ブレーキ」を自動的に作動させます。

車線の維持は、「ハンドル」を自動的に作動させて達成されます。

クルーズコントロールだけの車はレベル2にはならないみたいです。

スバルのアイサイトで言うと、クルーズコントロールだけのver.2はレベル1ですが、クルーズコントロールに車線維持アシストが追加されたver.3はレベル2です。

自動運転レベル3:完全お任せモード、ただし万が一の緊急時は 手動運転モードに切り替わる

車から手動で運転してくれと要請を受けない限りは、完全お任せモードとなるのがレベル3です。

昨年(2017年)の夏、アウディが世界初のレベル3自動運転車「Audi A8」を発表したことで話題になりました。日本でも今年から発売開始になる予定です。トヨタやホンダは2020年頃にレベル3の車を完成させる計画です。

自動運転レベル4:完全お任せモード

レベル4の車は、2020年代の後半になると言われています。あと10年位で完全自動運転が出始めるということです。10年なんてあっと言う間に到来します。

カメラやセンサ技術、情報を処理するソフトウェア技術の開発は今後ますます盛んになりそうです。

ちなみに、航空機はかなり自動操縦機能が充実していて、離陸以外の操作は基本的に自動操縦モードが存在します。

自動操縦を取り入れることで、航空事故が大幅に減ったようです。航空機でも、事故の主原因はヒューマンエラーだったと言えます。

車の場合、事故の93%はヒューマンエラーで起きているというデータがあります。特に最近は、高齢者ドライバーのヒューマンエラーによる痛ましい事故が多発しています。

車の自動運転化によってヒューマンエラーがゼロに近づき、事故を大幅に減らすことできると思いますので、今後も技術動向に注目していきたいと思っています。