有機材料を解説する

樹脂の耐候性を上げる2つの方法とは?紫外線の「吸収」と「反射」を考えよう。

ご存知の通り、樹脂は紫外線により徐々に劣化します。

ベランダで使っている洗濯ばさみや布団ばさみがだんだんボロボロになっていく、あの現象です。

どのようにすれば樹脂の紫外線による劣化を防ぎ、耐候性を高めることができるのでしょうか?

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紫外線を吸収するか、反射するか

紫外線から樹脂を守るための方法には、①紫外線を吸収する、②紫外線を反射する、の2通りがあります。

いずれも、樹脂にアタックする紫外線を減らそうという考え方です。

①紫外線を吸収する

皮膚の日焼けの色素であるメラニン、サングラス・・・。

これらは紫外線を吸収してくれます。

樹脂の場合、カーボンブラックを紫外線吸収剤として添加することが多いです。

カーボンブラックは幅広い波長の光をたくさん吸収してくれます。

樹脂より先にカーボンブラックが紫外線を吸収してくれるので、樹脂のダメージが小さくなります。

カーボンブラックのほかに、ベンゾフェノン誘導体のような有機系の芳香族化合物も紫外線吸収剤として使われています。

②紫外線を反射する(散乱する)

酸化チタン、酸化亜鉛、といったフィラーを樹脂に添加すると、紫外線を反射することができます。

一般的には、黒だと困るもの、例えば熱をもつと困る用途や黒以外の色にしたい場合は、これらを使用します。

酸化チタンや酸化亜鉛は白色なので、材料の色合いを邪魔しません。

化粧品なんかにも含まれています。

フィラーの粒径に注目する

光を散乱させるときに気にすべきは、フィラーの粒径です。

フィラーの粒径によって、散乱しやすい光の波長が変わります。

紫外線を散乱する用途においては、紫外線の波長を散乱しやすいフィラー粒径を選択します。

酸化チタンだと粒径が200-300nmあたりで紫外線の散乱強度がmaxになるようです。

酸化チタンや酸化亜鉛も紫外線を吸収する

余談ですが、酸化チタンや酸化亜鉛は紫外線を散乱するだけでなく、吸収もします。

酸化チタンや酸化亜鉛は紫外線を吸収して、価電子帯の電子が励起されるというメカニズムです。

有機化学の分野でいうところのHOMO→LUMO遷移のようなもんです。

まとめると

樹脂の耐候性を上げる方法は、基本的には紫外線を吸収するか反射するかの二択。

もちろん、両方を併用してもOK。

黒色でOK、あるいは熱をもってもOKなら、カーボンブラックを入れて紫外線をがっつり吸収させる。

それ以外なら、酸化チタンや酸化亜鉛を入れて紫外線を散乱させる。これらはカーボンブラックほどではないが紫外線の吸収もしてくれる。

紫外線の散乱を考えるときは、最適なフィラー粒径にしよう。

まとめるとこんな感じです。

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