とある講演にて、私の席の後ろに少々目障りなオッサンが座ってきました。
イチイチ物音を立てたり、ため息を連発したり、ハッカのタブレットを噛んで周りにハッカ臭をまき散らしたりと、なかなかのうっとうしさでした。
ヤな席に座ったもんだと嘆いていたんですが、講演中に回覧してた試作品をそのオッサンに回したときに状況は一変しました。
そのオッサンは丁寧に、「どうもありがとうございます」って言ったんです。
そのあとから、不思議とそのオッサンの言動が気にならなくなったんです。むしろ親近感が湧いたというか。さすがにハッカ臭は防げなかったので、マスクを着用しましたが・・・。
一声交わすだけで、嫌な人が嫌でなくなるという不思議な体験でした。
つながりを感じた瞬間から、居心地が良くなる
人はみな同じ先祖の派生なんだとか、人は地球という大きな生物の一部位であるから、自分と隣の人は同じ生物なんだ、という誰かの話がふと頭に浮かびました。
お互いに知らない人だと、どうしても警戒モードになってしまいます。今回のように、相手が気に障る言動をする人だとなおさらです。敵視して怒りの感情が込み上げてきます。
でも、「ありがとうございます」の一言で警戒が一気に解けるんですね。あれ、普通にいい人じゃんってことがわかるからです。
もちろん、この場面で冷たい対応をされていたら、敵視モードは継続していたでしょう。むしろ怒りの感情がさらにエスカレートしていたことでしょう。
研修で、知らない人たちとチームを作ってワークをする機会があると思います。その時も、最初はお互い警戒モードですが、一度自己紹介をしてしまえば少し気持ちがやわらぐのと同じです。
つながりを感じられる仕掛けが必要
近くにいるのに断絶されている状態ってよくあると思います。
同じ職場なのに、普段はほとんど会話を交わすことがないとか。同じマンションなのに、お互いに全く知らないとか。
断絶された状態にあると、相手の嫌なところが目につきやすくなります。
同じ職場の同僚の貧乏ゆすりが気に障るとか、マンションの上階の人の足音が気になってしまうことってありませんか?
もしその同僚やマンションの上階の人が知り合いだったらどうでしょうか?
些細なことであれば気にならなくなると思います。
このように、近くにいる人と断絶された状態というのはすごくしんどいです。
だから、お互いに言葉を交わせる機会を強制的に設けることは大切だなあとしみじみと感じました。
どんな仕掛けがいいか
人との交流を深めるといえば、お酒の入った飲み会です。
でも、お互いにつながりを感じるだけなら別に腰を落ち着けて飲む必要はないわけで、立ち飲みで1杯飲んで10分くらい会話するくらいで十分なんですよね。
コーヒーやお菓子をつまみながら、カジュアルにshort conversationするのでもいいですよね。
そういった、短時間で簡略化した交流ができる場があればいいんですけどね。
いうなれば、ヘルシーな喫煙所です。定期的に、かつ少しの時間だけ誰かが集う場所。
会社のなかにそういう空間があれば、断絶のない快適な職場が形成されると思うんですけどね。
