技術者の基礎知識

TG-DTA分析で、カーボンや無機フィラーの定量ができる

樹脂組成物やゴム配合中のカーボン、無機フィラーの定量をするならTG-DTA分析が便利です。

窒素雰囲気下と空気雰囲気下を途中で切り替えてTGを測定することで、カーボン、無機フィラー、その他(有機成分メイン)のそれぞれの重量比を求めることができます。

なお、ここでいうカーボンとは、カーボンブラック、グラファイト(黒鉛)の他、カーボンファイバー(炭素繊維)やカーボンナノチューブ、フラーレンのことです。大抵はカーボンブラックであることが多いかと思います。

TG-DTAの測定条件

はじめは窒素雰囲気下で室温から600~700°Cまで徐々に温度を上げます。昇温速度に特に決まりはありませんが、10°C/分や20°C/分がよいかと思います。

この過程で、主に有機成分がガス化して抜けていきます。

次に、温度を200°C位まで下げます。その後、窒素から空気雰囲気に切り替え、一定速度(10°C/分や20°C/分)で900°C前後まで昇温します。すると、空気中の酸素とカーボンが反応し、カーボンがCO2となって抜けていきます。最後に残るのが無機フィラーです。灰分とも言います。

各過程で減少した重量%から、有機成分、カーボン、無機フィラーの重量比を算出します。

注意点

ミクロなエリアの分析になってしまう

測定に使用する試料が10mg程度と非常に少ないため、どうしてもミクロな範囲の分析になってしまいます。材料が均一であればミクロなエリアの分析結果=マクロなエリア(バルク)の分析結果と言えますが、なかなかそうとは言いきれません。

何ヶ所か測定箇所を変えてn増することをお勧めします。

熱によりカーボン材料に変化する有機物がある

ポリアクリロニトリル(PAN)は炭素繊維の原料になっていることからも分かるように、窒素雰囲気下で加熱すると一部が炭化します。

したがって、TG分析で見積もったカーボンの割合は、実際よりも多く出てしまいます。同様に、塩ビ(PVC)やポリイミドにおいても同様の現象が起きますので注意が必要です。

廃プラスチック熱分解特性の研究

ポリマーの炭化によって得られる高導電性グラファイトフィルム

熱で水を放出する無機フィラーがある

難燃剤として用いられる水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムは、所定の温度を超えると水を放出します。したがって、TG-DTA分析にて水放出による重量現象が起きますので、結果を解釈する際は要注意です。

金属は酸素雰囲気での加熱で酸化物になる

例えば金属粉や金属繊維を入れた樹脂のTG-DTA分析を行うと、後半の空気雰囲気下での加熱において金属の酸化反応が進み、重量が増えますので、考察の際は要注意です。