Python、機械学習

シミュレーションとインフォマティクスの違い

ある前提条件を与えたとき、どんなアウトプットが得られるか。

これをコンピュータ上で計算できるというのは面白いなあと思います。

最近ではマテリアルズ・インフォマティクスが盛んに研究されており、材料科学と計算科学の融合からはますます目が離せなくなっています。

昔からCAE解析やシミュレーションというものはありますが、インフォマティクスはそれらとどう異なるのでしょうか?

物理法則が介在するかどうか

シミュレーション、インフォマティクスともに、コンピュータ上でy=f(x)の関数を求めて、前提条件xを入力してアウトプットyを推定するものです。

違いは、関数f(x)を作るにあたり物理法則を介在させるかどうか、に尽きます。

シミュレーションの場合は、物理法則をもとに計算モデルを作成します。

インフォマティクスの場合は、物理法則を介在させません。手持ちのデータを使ってアウトプットyをうまく推定できる計算モデルを作成します。

シミュレーションとインフォマティクスの違いは、東レ先端材料研究所の方が非常にわかりやすく解説されています。

こちらの技術資料のp.24のスライドです。

計算科学による高分子材料設計の展望

演繹的か、帰納的か

シミュレーションはdeductive(演繹的)で、インフォマティクスはinductive(帰納的)という表現がわかりやすいです。

つまり、一般法則から答えを導くのか、個々の事実から法則性を見つけて答えを導くのか、の違いです。

第一原理計算、量子化学計算

マテリアルズインフォマティクスの場合、シミュレーションは第一原理計算を用いて行われます。

第一原理計算とは、経験的なパラメータは一切使用せず理論計算するものです。

通常は、物質を構成する電子の状態を量子力学の方程式(シュレディンガー方程式)に従って計算して、物性や化学反応をシミュレートするものです。

化学系の人にとっては、量子化学計算の方が聞き慣れているかと思います。

メリット、デメリット

シミュレーションのよいところは、シミュレーション結果に説明性があることです。計算モデルが物理法則を拠り所にしているメリットです。

インフォマティクスのよいところは、シミュレーションに比べて計算がすぐ終わることです。

内容にもよりますが、第一原理計算は長時間を要したり、「京」のようなスパコンを使わないといけないといった制約があります。

インフォマティクスであれば普通のパソコンでできますし、ニューラルネットワークのような負荷の大きい計算でもGPU搭載のパソコンであれば計算できます。

また、インフォマティクスで得られた計算モデルから、これまで明らかになってない新たな「理論」が生まれる可能性もあります。

シミュレーションの勉強もしたくなってきた

いずれにしても、シミュレーションとインフォマティクスは密接に関係していて、インフォマティクスの話には必ずシミュレーションの話が出てきます。

私もシミュレーションに興味が湧いてきました。

シミュレーションといえば、学生の頃にやったハートリーフォック(HF)やDFT計算を大雑把に触っただけのレベル。

Chem-Station(ケムステ)ではこちらの書籍を押しているようなので、一度読んでみようかしら。


密度汎関数法の基礎 (KS物理専門書)

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