技術者の基礎知識

ゴムの混練チャートの見方、BITの確認(A練り)

ゴムをバンバリーミキサーや加圧ニーダーなどの密閉式混合機で練る際は、混練チャートが重要になります。しっかり練り込まれているか、混合槽内の温度が上がりすぎていないか、をチェックします。

ゴムの混合には、素練り、A練り、B練りとありますが、特に重要なのはA練りの終点を決めることです。

ここでは、原料ゴムと配合剤(カーボン、フィラー、オイル等)を混練する「A練り」の混練チャートの見方を説明します。

ゴムの混練チャート

こちらにゴムの混練チャートの一例を示します。(それっぽい混練チャートを手書きで描いてみました。)

A練りの手順としては、まずはじめに原料ゴムを投入して混練し、次にカーボンやオイルなどの配合剤を投入して混練します。最後に、投入口周辺に付着した配合剤を掃いて混合槽に落としてから仕上げ混練を行います。

投入や清掃の過程ではトルクがストンと落ちていますが、これはラムの加圧を除荷しているためです。

原料ゴムの混練

原料ゴムの混練では、原料ゴムに剪断力がかかってトルクがピークを迎えます。その後、原料ゴムの破砕が進行し、トルクは低下します。混練による摩擦熱で温度も上昇します。

配合剤の混練

配合剤の混練では、かさ高いカーボンやフィラーが混合槽の中に充填されることでぎゅうぎゅうになります。混ぜるのに高いトルクを必要としますので、トルクが上がります。温度もさらに上がります。やがて、原料ゴムに配合剤が練り込まれて一体化するとトルクがピークを迎え、カーボンやフィラーの分散、均一化が進み、トルクが徐々に低下してゆきます。

BITとは

原料ゴムと配合剤が一体化してトルクが極大値を迎える時間をBIT(Black Incorporation Time)と言います。カーボンが練り込まれた時間、という意味です。A練りではBITを超えて混練りさせることが重要になります。

望ましくは、BITを超えてトルクの減少が飽和したところを混合の終点としますが、できるだけ混合時間を短縮したい観点から、トルク値が飽和するよりも手前で混合を終了することも多いかと思います。

また、カーボンやフィラーの多い系では、ゴムコンパウンドの温度が高くなりすぎる場合もあります。ゴムコンパウンドへの無用な熱履歴を避けるためにも、BITを越えたら早々に混合を終了することもあります。この辺は、製造コストと品質のバランスで混合条件を決めていきます。

なお、配合剤の混合で、トルクが上昇する前にトルクが下がり、谷が見えているのが分かります。これは、明確には言えませんが、単純に原料ゴムの粉砕が進んだせいかもしれません。あるいは、原料ゴムの表面にカーボンやフィラーが付着し、ローターとの間で滑ることでトルクの極小値を迎えるBWT(Black Wet Time)なのかもしれません。