技術者の基礎知識

鋳造、ダイカスト(ダイキャスト)、粉末冶金(焼結)、切削の違い

プラスチック屋にとって、金属加工は異分野の話に聞こえてなかなかしっくりこないと思います。ただし、加工の方法は名前や装置が違うだけで、基本的には共通ところが多々あります。

ということで、プラスチックの成形で例えながら、金属加工の種類を整理していきます。

まずは結論

樹脂と金属を対比して成形方法をまとめるとこのようになります。

名前は違えど、樹脂で使われている成形方法は金属材料の分野でも使われているということが分かると思います。プラスチック屋が金属加工の全体像を把握するには、この覚え方が分かりやすくて便利だと思います。

溶融した金属材料を型に流し込み、冷やす
注型成形 → 鋳造
射出成形 → ダイキャスト(ダイカスト)

金属材料を溶融させず、力を加えて変形させる
プレス → 型鍛造
押出成形 → 押し出し、引き抜き
ロール成形 → 圧延
(該当なし) → 自由鍛造

金属の粉を押し固めて加熱する
圧縮成形 → 粉末冶金(焼結加工)

切り取る、削る
樹脂、金属に共通する加工方法 ・・・ 切削、研削、放電加工、レーザー加工

新しい技術:3Dプリンター
金属粉末をレーザーでスポット溶融・固化して3次元の構造を作る

以下、各項目について詳しく説明します。

溶融した金属材料を型に流し込み、冷やす

樹脂でいう「注型(ちゅうけい)成形」が、金属でいう「鋳造(ちゅうぞう)」

名前の通り、型に液状の樹脂を注いで、そのまま固めるのが注型成形です。硬化剤が入った液状のエポキシ樹脂やウレタン樹脂を成形するときに使う方法です。

金属の場合は、高温にして溶融させたものを型に注ぎます。その後、冷却することで固めます。この方法を鋳造と呼びます。

型は、砂型と呼ばれるものを使います。砂とバインダーを混ぜて焼き固めたもので、まさに無機金型です。

樹脂でいう「射出成形」が、金属でいう「ダイキャスト」

射出成形とは半溶融した樹脂を金型に注ぎ、高圧をかけた状態で冷却する方法です。

金属の射出成形を「ダイキャスト」または「ダイカスト」と言います。圧力をかけるため、型は砂型ではなく、丈夫な金属製のもの(金型)を使います。

高圧をかけて冷やすため、普通の鋳造に比べて寸法精度がよいことが特長です。ざらざらの砂型ではなくツルツルの金型なので、表面が平滑に仕上がるのも特長です。ただし、金型は砂型に比べて値段が高いのでコスト高になるのがデメリットです。

金属材料を溶融させず、力を加えて変形させる

樹脂でいう「プレス」が、金属でいう「型鍛造」

温度を上げてやわらかくした樹脂に型をあてて圧力をかけ、所定の形状に加工するのがプレスです。

プレスの金属バージョンが型鍛造です。溶かして固めるのではなく、溶けてない硬い状態のものを機械的に変形させる方法です。

厳密には、樹脂のプレスでは半分溶融した状態でプレスすることもあるので微妙に違いますが、まあそこはよしとします。

樹脂でいう「押出成形」が、金属でいう「押し出し」や「引き抜き」に似ている

半溶融させた樹脂を所定の形状の穴から吐出させる加工方法が押出成形です。この穴のダイスといいます。

押出成形の金属バージョンが「押し出し」です。熱々の金属をダイスに通して吐出させます。丸棒やパイプとった長尺のものを作るのに適しています。

「引き抜き」というものもあります。「押し出し」とはちょっと違っていまして、棒状の金属をダイスに通し、ダイスの向こうから引っ張って加工します。もともとの金属棒を細く長く引き延ばす方法です。

樹脂でいう「ロール成形」が、金属でいう「圧延」

オープンロールやカレンダーロールで樹脂をシート状に加工する方法がロール成形です。この金属バージョンが「圧延」です。

樹脂には無いが・・・、刀を作るときは「自由鍛造」

型を当てずにハンマーで叩いて加工する方法を自由鍛造と言います。刀を作る方法でおなじみです。所定の形状に加工するだけではなく、金属の結晶を微細化したり欠陥をなくす効果もあります。鍛造することで金属の強度が上がります。

金属の粉を押し固めて加熱する

樹脂でいう圧縮成形が、金属でいう「粉末冶金(焼結加工)」

樹脂の粉を型に入れて、圧力をかけて押し固めるのが粉末加工です。圧縮状態で加熱することで粉を一体化します。溶融してもサラサラの液状にならないPTFEの加工で使われています。

この金属板が粉末冶金(やきん)です。焼結加工ともいいます。バインダーを含んだ金属粉を所定の形状に押し固めたのち、高温にして焼き固めます。

切り取る、削る

板状の金属を切ったり削ったりして所定の形状に加工する方法です。これは樹脂の加工にも使われるものです。

切削(せっさく)

切削工具と呼ばれる硬い刃物で削っていく方法を切削といいます。氷の板を削って札幌雪祭りに展示する作品を作るのと同じイメージです。削り方は、彫刻刀で薄い削り片を出しながら木を削っていくのに似ています。

削る金属を回転させて、そこに切削工具をあてがう方法を旋盤(せんばん)加工といいます。花びら状に切削工具がついていて、回転させることができるフライスと呼ばれる治具を使って削る方法をフライス加工といいます。

ドリルで穴を空けるのも、切削加工の一つです。

研削(けんさく)

筒状の砥石を高速で回転させて金属の表面を削っていく方法を、研削と言います。

放電加工

電極から金属上の狙った箇所へピンポイントで放電させ、その場所に火花を起こして溶かす方法です。火花が生じると6千℃くらいになるため、金属が溶けてくれます。これにより穴をあけたり切り取ったりすることができます。

放電加工は切削加工よりも時間がかかりますが、切削加工では難しい硬い金属でも加工できるのが特徴です。金型を作るのに向いています。

レーザー加工

レーザーを当ててピンポイントで加熱し、金属を溶かして加工する方法です。

新しい技術:金属の3Dプリンター

最近では、樹脂ならぬ金属の3Dプリンター技術が注目されています。

3Dプリンターでは、金属の粉末を薄く敷き詰めて、所定の位置にレーザーを当てます。すると、レーザーを当てたところだけが熱で溶融・固化されて一体化します。

レーザーが当たらなかったところは粉のままです。

その上にまた金属粉末を敷き詰めてレーザーを当てます。

この繰り返しにより高さ方向に積層していくことで、3次元の金属成形物ができあがります。メカニズムは非常にシンプルです。