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【資産運用】金融経済と実体経済のどちらを見て長期投資すべきか?

日々の経済活動により、実体経済は今後も成長するだろうと期待して、私たちは長期で資産運用をしています。

資産運用の書籍にもそのように書いています。

ところが、金融経済は実体経済の○○倍に膨れあがっている、なんて話をよく耳にします。

また、金融経済と実体経済が乖離していて、実体経済とは関係のないところで景気が左右されている、という議論も聞こえてきます。

そこでふと思うわけです。

金融経済の方が大きいのであれば、投資する上で着目すべきは実体経済ではなくて金融経済なのではないだろうか?と。

ここでは、金融経済と実体経済の違いを整理して、上の問いを検証して見たいと思います。

まず、実体経済とは?

実体経済とは、生産者と消費者が「モノ・サービス」と「お金」を交換する活動です。

会社が販売するモノ・サービスを、消費者がお金を出して買います。

モノ・サービスとお金を交換する金額規模の大きさが景気の良し悪しであり、GDPで表されます。このGDPが年々大きくなることを「経済が成長する」と表現し、前年度からのGDP変化率を経済成長率と呼び、経済成長の指標となっています。

資産運用の中でよく語られるのが、こちらの実体経済の状況です。最近景気が悪いなあとか、中国の経済成長はすごいなあとか、そんな感じです。

金融経済とは?

金融経済とは、お金が欲しい人とお金を増やしたい人が「借用書」と「お金」を交換する活動です。

例えば、ビジネスの元手となるお金を集めたい会社と、自分のお金を増やしたい消費者がいたとします。会社は借用書を発行し、消費者がこれにお金を出して買います。

数年後、会社は利益を出します。消費者から出してもらったお金に利益をのせたお金を消費者に渡します。これで取引終了です。

会社と消費者が金融機関を通じてこのやりとりをする場合もありますし、直接の場合もあります。それぞれ、間接金融、直接金融と言います。

銀行預金なんかは間接金融です。株や社債を買うのは直接金融ですね。

資本主義では、経営者が資本家からお金を集める

資本主義では、お金が欲しい人(会社の経営者)がお金を持っている人(資本家)からお金を集めます。

経営者は、これを元手にビジネスをして元手+αのお金を生み出します。

αからビジネスにかかった費用、税金を引いたものが利益です。

利益の一部は、次のビジネスの元手(内部留保)、そして経営者の報酬(役員報酬)にまわされます。

そして、残りは資本家のものになります(配当)。

資本家はこうやって新たに手に入れたお金をさらに別のところに出資します。

お金でお金を稼ぐ。そして、増えた分のお金も投資に回して複利でお金を増やす。これが資本家の富の拡大再生産です。

金融経済は実体経済のサポート役であり潤滑剤

実体経済がスムーズに効率よく回るようにしているのが金融経済という活動だ、ともいえます。

「もっと元手となるお金があればより良いモノ・サービスをもっとたくさん提供できるのになあ」

「もっと手持ちのお金が増えてくれればモノ・サービスをもっと買うんだけどなあ」

お金の貸し借りである金融経済は、こういったもどかしさを解消します。

つまり、生産者と消費者の間で行われる「モノ・サービス」と「お金」の交換の規模が落ちないよう支えています。

だから、金融経済は実体経済のサポート役であり、実体経済をスムーズにまわす潤滑剤のような役割を担っているといえます。

なぜ金融経済の規模が大きくなったのか?

資本家は、金融経済で得たお金をさらにお金を必要とするところに投資し、お金を増やそうとします。

したがって、基本的にお金の貸し借りの規模は大きくなります。つまり、金融経済の規模がどんどん増えていきます。

金融経済の規模の拡大に拍車をかけたのは、金融の規制緩和です。

「借用書」と「お金」のやりとりがより自由にできるようになったからです。

グローバルにルールが統一されたことも効いています。国境を越えたやりとりが可能になったからです。

金融経済の規模を表す数字

実体経済の大きさはGDPで表されることは上述の通りです。

それでは、金融経済の大きさはどこを見ればわかるのでしょうか?

金融経済とは「借用書」と「お金」の交換活動だといいました。

この借用書の総額は「金融資産残高」で表されます。

日本の金融資産残高

2018年の日本の金融資産残高は、ざっくり6,000〜7,000兆円といったところです。

知りたいのは、1年間の借用書とお金の交換の規模です。

これは、借用書、つまり金融資産残高が1年間でどれだけ増えたかをみればわかります。

こちらの資料に詳しく記載されていますが、日本の金融経済の規模、つまり1年間の金融取引額はざっくり230兆円です。

https://www.smtb.jp/others/report/economy/28_2.pdf

日本のGDP(名目)がざっくり550兆円ですので、金融経済の規模がいかに大きいかがわかると思います。

それだけ、実体経済が潤滑剤を必要とし、かつ潤滑剤が豊富に提供されたということなのでしょう。

そして、豊富な潤滑剤のおかげで、実体経済が大きく成長してきたともいえそうです。

これからの日本は・・・

ここ最近の日本ではカネ余りの状態が続いています。昔ように、たくさん元手があればたくさん利益が上げられるという時代ではなくなっている気がします。

日本では潤滑剤のニーズがどんどん減っていきそうです。そうなると、お金を借りたいというニーズが減って株価や金利も縮小していくかもしれません。

一方で、今後経済が発展しそうな新興国はたくさんあります。実体経済でお金を借りてビジネスをしたいというニーズはまだまだあるとも考えられます。

新しいテクノロジーを使って、世界規模で問題となっている事象、例えばエネルギーやきれいな水の確保、CO2削減を進めていく流れも止まらないでしょうし。

ここのところは予測が難しいです。

金融経済が実体経済に影響を及ぼす

金融経済は実体経済のサポート役であるはずです。

しかしながら、自身の規模が大きくなりすぎて、逆に実体経済を左右してしまうような状態になっています。

例えば、とある会社があって、順調に利益が出ているとします。そして、その会社の株を買っていた資本家が、自己の都合や思惑で株を売ったとします。

すると、会社にとっては意図せぬところで元手が減ってしまうわけで、それまでは業績が良かったのにビジネスが滞り、業績を落とすといったことになるやもしれません。

その資本家が扱う金額が小さければ痛くもかゆくもありませんが、金融経済のプレイヤーは少額の個人投資家ばかりではありません。

巨額のお金を動かす組織(金融機関やヘッジファンド)がいて、彼らの動向が実体経済を左右しているんです。

巨額のお金を動かす組織(金融機関やヘッジファンド)の影響

株や不動産の価格、それから金利も、巨額のお金を動かす組織の動向で大きく振れます。

彼らがある会社の株を大量に買うとします。

株が人気で引っ張りだこということは、株の価値が上がるということなので、株価が上がります。逆に、株を大量に売ると株価が下がります。

彼らがある国の国債を大量に買うとします。

国債が人気で引っ張りだこということは、わざわざ国債の金利を高く設定して「国債買って下さい」と売り出す必要がなくなるということです。

したがって、国債の金利が下がります。逆に、国債を大量に売ると金利が上がります。

巨額のお金を動かす組織も自らのお金を増やすため、そして損失を被らないために出資先を吟味しているはずです。彼らも低リスクで将来が期待できる会社、国に投資するはずです。

ただし、上述のとおり、短期的には彼らの都合や思惑で、実体経済の良し悪しとは関係なく巨額のお金を出資したり引き上げたりすることがあります。

短期的に現金化する必要が出てきたとか、他にもっと魅力的な投資先を見つけてそっちにお金を移動したくなったとかです。

そうすると、実体経済とは関係なく株価や金利が動きます。そして、我々個人投資家の保有資産の評価額も変動します。

さらに、実体経済にとってみると、潤滑剤がほしいときに得られない事態が発生します。実体経済が効率よく回らなくなり、結果、景気が悪くなります。

そして、2次被害的に株価や金利に影響が出ます。

結論

短期的には、金融経済の変化のあおりを受けて、私たちが保有している資産の評価額が大きく変動する可能性はあります。

規模の大きいプレイヤーの都合や思惑で、株価や金利が実体経済とは関係のない動きをし、大きな含み益が出たり含み損が発生するかもしれません。下手すると、金融経済での動きが実体経済に影響を与えて、2次被害的に変動幅が大きくなるやもしれません。

ただし、長期的に見ると、どの資本家も基本的には実体経済の成長に期待をして投資を続けると考えられます。つまり、実体経済に潤滑剤をさし続けるということです。

その効果も含めて、実体経済が今後も成長してくれると、資本家は実体経済で得られた利益を享受できます。

したがって、実体経済が成長し続ける限り資本家は儲かり続けるはずだということになります。

多分、人間が欲を失わない限り、そして世界的な課題がある限り、経済活動は成長していくと思います。

注意しないといけないのは、実体経済が成長しても、実体経済でもうこれ以上潤滑剤はなくても大丈夫だよとなった場合ですね。

お金を借りる側よりも貸す側の供給過多になり、株価や金利が下がるかもしれませんので。

長期投資をするなら、金融経済におけるお金の貸し借りの需給バランスには特に注意を払うべきなのでしょう。