技術者の基礎知識

【初心者にも分かる】理系の人なら地球温暖化のメカニズムを科学的に理解しよう

「地球温暖化の問題については様々な情報が入り乱れており、紐解いて理解する気になれない」。多くの人が抱いている感想だと思います。

なぜ情報が入り乱れているのか?理由は簡単です。

地球温暖化が放置できない重大な問題となり得るのはほぼ間違いないのですが、現状は一般の人の関心を引きつけるほどの現象は起きていません。気候に関するデータや予測値も、ぱっと見でインパクトのあるものではありません。

よって、人々の恐怖心を煽って関心を引こうと、かなり誇張して語られることが多くなったということです。アル・ゴアの不都合な真実もその一つと言われています。

とはいえ、技術者として地球温暖化の話は無視できません。ここでは、科学的にかつ簡潔に、地球温暖化という現象をつかんでみたいと思います。

地球の温度変化

長期スパン

地球の温度変化は10万年単位の繰り返しパターンを示しています。つまり、気温の低い”大氷河期”が8〜9万年続いたら、気温の高い”間氷期”が1〜2万年続く、というサイクルです。

直近だと、紀元前8万年〜紀元前9千年が大氷河期でした。-5℃以上も寒かったんです。

なぜ大昔の気温が分かるのか?についてはこちらの記事を参照して下さい。

同位体とは?同位体の存在比から生物の年代や大昔の気温がわかる地球が誕生して46億年が経過していますが、そのうち、人間が文字で書き記した記録でさかのぼれる期間というのはたかだか数千年です。これより昔...

ここ150年

1850年から今まで、気温が1℃上がっています。1850〜1950年は太陽活動といった自然現象が原因である可能性が高いですが、それ以後は人間活動によるものである可能性が高いと言われています。これは、IPCCという機関が科学的に分析して出した結論です。

具体的には、1950年以降の温度上昇には、90%の確率で人間活動の結果が影響しているということです。10%くらいの確率で、最近の温暖化が人間活動のせいではないという可能性が残っているとはいえ、無視できない話です。医者から、何も対策しないと9割の確率で重い病気になりますよ言われたとき、我々は果たして平然としていられるのか?ということです。

この先

今後50年で1.5〜5℃上がると予測されています。予測値に幅はあるものの、最大で+5℃も上がり得るというのはかなり恐ろしい話です。

IPCCは科学的、中立的な見解を提示している

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは地球温暖化を科学的、中立的に評価する学術的な機関です。アルゴアとともにノーベル平和賞を受賞したことでも知られています。書籍「サイエンス入門Ⅱ」にも書かれていますが、地球温暖化を考えるにあたりすべきことは、IPCCのコンセンサス(合意声明)を知ることだと言います。主観の入っていない情報をもとに自分の頭で考えようということです。

人間活動による温暖化のメカニズム

温暖化のメカニズムは知っているようでよく理解していない人が多いと思います。ここでは地球の熱のやりとりから温暖化のメカニズムを考えます。

原因はCO2

結論からいうと、人間活動により大気中のCO2の量が増えたことが原因です。

1800年以前は、大気中のCO2濃度は280ppm(0.028vol%)でした。今では380ppm(0.038%)に増えています。実に+35%の増加です。化石燃料、熱帯雨林の焼き払いが主な原因だと考えられています。有機物を燃やすとCO2が出ますし、CO2を吸収してくれる熱帯雨林が減るとCO2はなかなか消費されなくなりますので。

なぜCO2が増えると気温が上がるのか?

地球には太陽光が降り注いでいます。オゾンや大気をくぐり抜けた太陽光を地球が全て吸収したとします。これにより地球が温まる結果、地表の温度は27℃と計算されます。

実際には、オゾンや大気をくぐり抜けた太陽光は雲や氷で反射されてしまいます。全体40%くらいが反射されます。これを加味すると、地表の温度は-3℃と計算されます。

さらに、温まった地球からは赤外線が放射されます。大気に存在する気体のうち、CO2とH2Oは赤外線をたくさん吸収します。すると、大気からも赤外線が放射され、それにより地球が温められます。この効果も加味すると、地表温度は14℃と計算され、実測と概ね一致します。

CO2とH2Oの放射により地球が温められることを温室効果といいます。CO2が増えると温室効果は大きくなりますし、それにより気温が上がると海水が蒸発して水蒸気が増えてより温室効果が促進されます。よって、地球の温暖化に関与しているのはCO2だということになります。

ということで、世界規模でCO2を削減すべきだという声はしごくまっとうですし、我々も自然とCO2削減の取り組みに関心が向いていくことになります。

温暖化の影響は北極、南極に近いほど顕著

北極、南極といった極地は、反射の大きい氷と雪に覆われています。温暖化が進むと氷や雪が融けて、太陽光を反射できる割合が減ってしまいます。したがって、気温の上がり方も顕著になります。

さまざまな誇張

「世間で語られている情報の多くは誇張されたものである」。その事例が書籍「サイエンス入門Ⅱ」に紹介されています。箇条書きで挙げておきます。

・ハリケーンカトリーナ含め、米国でハリケーンが増えているのは地球温暖化のせいだ
→これは間違い。ハリケーンの数は減ってない。増えているように見えるのは、ハリケーンの観測技術が上がって、これまで検出できていなかったものまで見えてきたから。また、気温が上がって熱容量が増えるとハリケーンの規模は大きくなるが、温暖化が進むとハリケーンはむしろ減るはず。

なぜなら、温暖化が進むと北極や南極に近い地域の気温上昇が顕著になり、赤道付近のエリアとの温度差が小さくなるから。ハリケーンは温度差をエネルギーとしている。竜巻も同じ。

・地球温暖化のせいで南極の氷が溶けている
→これも間違い。南極の氷が減っているように見えるのは、割れた氷が切り離されて海に流されているから。また、温暖化が進むと氷はむしろ増えるはず。なぜなら、気温が上がると海水がより蒸発して降雪量が増えるから。