電力や電力量は、日本のエネルギー問題から身近な電化製品まで頻繁に耳にする言葉です。その割には、数字の意味や規模感のイメージがわいてない人が多いのではないでしょうか?
ここでは、電力(kW)、電力量(kWh)の数字感覚をつかめるよう、簡単に解説します。
kWとkWhの意味
kW、kWhはそれぞれ「電力」「電力量」の単位です。「電力」と「電力量」は、自動車の”速度”と”走行距離”の関係に似ています。
“速度”が「電力」、”走行距離”が「電力量」にあたります。
電力:kW
電力とは、エネルギーを生み出したり消費する「速さ」です。単位時間あたりに生み出したり消費するエネルギー量で、単位はワット(W)です。出力とか、消費電力ということもあります。
電力量:kWh
電力量とは、生み出したり消費するエネルギーの「量」です。電力[kW]に時間[h]を掛けて計算します。単位はワットアワー(Wh)です。
消費電力が1200Wのドライヤーを1時間使ったら、
1200W×1h=1200Wh
の電力量を消費したことになります。
供給電力≒需要電力である
エネルギーはたくさんストックすることができませんので、誰かが作ったエネルギーはリアルタイムで誰かが消費することになります。
したがって、
供給電力(発電所の発電電力)[W] ≒ 需要電力(総消費電力) [W]
となります。
実際には、電力会社が電力の消費状況に合わせて発電電力を調整しています。この調整をせずに供給電力と需要電力がずれてくると、周波数が変わるなどして電気の質が悪くなるからです(ここでは触れません)。
これはGDPの考え方と似ていますね。GDPとは1年間に生産されて売られた総量であり、1年間に買われた総量です。
電力の数値感覚
こちらの表で、電力の数値の規模感をつかめるかと思います。ざっくり、マイホームが1kW、町が1MW、県が1GW、日本が100GW、世界が2TWです!
100W | 明るい電球 | |
---|---|---|
1kW | 家1軒の消費電力 | |
1MW | 町の消費電力(家1,000軒) | |
1GW | 県の消費電力(家100万軒) | 発電所1つの出力 |
100GW | 日本の消費電力 | 日本の発電所の総出力 |
100GW | 世界の消費電力 | 世界の発電所の総出力 |
※書籍『サイエンス入門Ⅱ』を参考にしています。
原発の出力
参考までに、代表的な原発の総出力を示します。東電の柏崎刈羽原発は最大のキャパを誇ります。
・柏崎刈羽(東電):8GW
・大飯(関電):5GW
・浜岡(中電):4GW
・伊方(四電):2GW
当たり前ですが
電力、つまりエネルギーが生み出されて消費される速さは、季節や時間帯により変わります。みんなが起きている昼間の方が消費電力が大きくなります。
電力量の数値感覚
電気代
さきほどの表で、家1軒の消費電力はざっくり1kWだと言いました。
1日のうちアクティブな時間を15時間としたら、1ヶ月の消費電力量は
1kW x (15h x 30日) = 450kWh
となります。実際に、一般家庭の一般家庭の1ヶ月の消費電力量は450kWhくらいです。
電気代はざっくり20円/kWhですので、1ヶ月の電気代は
450kWh x 20円/kWh = 9,000円
と計算されます。電力量と電気代の感覚はつかめたでしょうか?

日本の電力量
さきほどの表で、日本の発電所の総出力はざっくり100GWだと言いました。
では、日本の発電所が1年間で生み出す電力量はいくらになるでしょうか?
1年間は、時間になおすと365日×24h=8,760hです。ざっくり10,000hです。よって、
100GW x 10,000h ≒ 1,000,000GWh(100万GWh) となります。kWhで表すと、1兆kWhです。
日本の発電所が1年間に生み出したエネルギーのうち90%以上は火力発電です。原発は2%です。ほとんどが止まっているからです。
火力の原料には石油、石炭、天然ガスといったものがあります。全てひっくりめて「火力発電」とするとこのようになります。
いかに火力発電に依存しているかが分かります。
では、日本が1年間で消費する電力量はいくらになるでしょうか?
消費電力量は発電電力量とほぼ同じであることが分かります。「同時同量」が維持されているためですね。
「同時同量」については、こちらをご参照下さい。
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